i-Constructionとは?知らないじゃ済まされない少し未来の話

このページでは、i-ConstructionとICT活用工事について解説しています。
建設業界で働く人たちなら一度は耳にしたことある言葉【i-Construction】。
「ドローンを使って何かするんでしょ?」「建機を自動操縦にできるらしい。」などなど、なんとなく理解しているけど他人事のように感じている方が大半だと思います。
しかし、技術の進化のスピードを考えると、もはや「聞いたことがある」程度では済まされないのが今の現状です。
そもそもi-Constructionとは?
i-Constructionとは生産性の向上を目的とし、国土交通省が2016年に掲げたプロジェクトです。
2025年までに建設現場における生産性を20%向上することが目的で、施工業者だけでなく工事発注者もi-Construcionの普及に向けて活動を行っています。
なぜi-Constructionが必要なのか?
国土交通省がi-Constructionを掲げた理由は以下の3つにあります。
- 建設業就業者の減少
- 建設業就業者の高齢化
- 劣悪な労働環境
一つ一つ詳しく見ていきましょう。
建設業就業者の減少
他産業に比べ、建設業就業者の減少は深刻な問題の一つです。
総務省統計局のデータによると、2022年1月時点での建設業就業者は約475万人。
これは、最も多かった平成9年の685万人と比べると約30%減少しています。
建設就業者の高齢化
総務省統計局のデータによると平成27年の建設就業者の内、約34%が55歳以上、約11%が29歳以下となっています。
これでは、高齢者の離職に対し若い世代の就業者の増加が追い付きません。
劣悪な労働環境
他産業に比べると労働力、労働時間に見合う賃金が支払われていないのが建設業界の現状で、このことが建設業に対する悪いイメージとして定着しています。
また、賃金だけでなく危険作業の多さや汚いイメージも強く、これらが若い世代の入職の減少の要因になっています。
i-Constructionの取り組み
i-Constructionでは以下の3つが最重要施策として掲げられています。
- ICTの全面的な活用(ICT土工)
- コンクリート工の規格の標準化等
- 施工時期の平準化
普段建設現場で働く方が一番影響を受けるのが、ICTの全面的な活用です。
ここからはICT土工について詳しく見ていきましょう。
ICT土工の概要
ICT土工では、建設現場における様々なプロセスにおいてICT(通信技術)を活用します。
建設現場のプロセスは大きく分けて以下の三つになります。
- 測量
- 施工
- 検査
それでは、それぞれのプロセスでICTをどのように活用できるのか見てみましょう。
測量におけるICT活用(3次元測量)
ICT土工では、従来の測量方法に代わり3Dレーザースキャナーやドローン等を使い測量を行います。
これにより今まで平面的に作成されていた設計図が3D設計図として作成可能となります。
また、3D設計図は高精細な点群座標で作られるため、複雑な地形の測量も短時間で行うことができ、測量時間の短縮や測量者の安全性の確保にも役立ちます。
施工におけるICT活用(ICT建機)
3D設計図を専用の建機にインストールすることで、様々な建設機械の半自動制御化が可能となります。
これにより、従来では熟練技術を持つオペレーターしか出来なかった作業のハードルが下がります。
また、施工範囲の設計高や現状地盤高をリアルタイムで収集できるので、施工前の丁張作業や作業補助の削減にも役立ちます。
検査におけるICT活用
建設現場における検査では、出来形管理で得られたデータをまとめた膨大な資料を元に実施されていました。
これは施工管理者だけでなく発注者側にとっても大きな負担になります。
しかし、ICTを活用すればICT建機から取得した施工履歴に基づいた出来形算出や、3次元データを用いた完成検査が可能となり、検査日数や検査書類の削減に役立ちます。
まとめ
i-Constructionは建設業界の生産性向上を目的としたプロジェクト。
ICTを活用すれば施工者や発注者に様々なメリットをもたらす。
i-Constructionは建設業界に携わるすべての人に関係するプロジェクトです。
なので会社規模だけでなく、社員一人一人が理解を深め、常に最新の情報や技術を吸収していくことが大切です。